Your focus determines your reality.

思ったことや新たに知ったことのメモとして。元々は留学中に考えていたことを記したブログでした。

ニーズを反映したプロトタイプ

今学期はNew Product Developmentが新事業開発の根幹を学ぶ良い授業になりそうだ。今週はユーザニーズをプロトタイプに反映するためのプロセスについて。

 

ユーザインタビューなどによるニーズの把握

アンケートやインタビューなどにより、「ユーザが既存商品とどのような付き合い方をしているか」をリサーチする。全くの新しい商品である場合でも、その商品が解決するであろう問題についてユーザがどのように向き合って感じているかをリサーチする。

その際、注意すべき点は以下の通り。

・自分たちの持っている仮説が正しいと立証したいために、誘導的な質問になっていないかチェックする

Yes-Noエスチョンや曖昧な選択肢、網羅的ではない選択肢によって、ユーザが本当に意図しているわけではない回答をしてしまわないようにする

・オープンクエスチョンと”Why”エスチョンによってユーザに自由に語らせる余地を設け、誘導的にならないようにする

・インタビュアーに対する見栄や回答への面倒臭さからユーザの意図に反した回答がされてしまわないよう、調査の進め方にも注意する

・「いつもだいたいどうしているか」などの曖昧な習慣を聞く質問では、ユーザは想像上の自分を作り上げて答えてしまうため、「ここ1週間のうち」など具体的な期間を指定し、ユーザの記憶の中から実際のユーザの行動に基づいた回答をしてもらうようにする

今週の授業に先立つ課題として、2人1グループで友人や家族など1名にインタビューを行い、回答者にとって”Food”が何かを掴む演習を行った。

アメリカ人学生と組んで、その学生の友人にインタビューを行い、彼にとってFoodFuel(燃料)であり、かつSimplicity(簡素であること)でもあるという結論を得た。そのインタビューはもちろん相手との対話の中で行われるため、リアルタイムに質問を考えながら進めていく形であったのだが、上記の注意すべきポイントは割と押さえながら聞くことができた。また、1日3回の食事だけにフォーカスするのではなく、食事の準備をするプロセスや間食、1日に口にする飲み物などについてもオープンクエスチョンで語ってもらったことで、誘導的にならずに相手の姿をつかむことができた。

 

セグメンテーション

ユーザと商品との関係性からユーザが商品に求めている要素を抜き出し、それによってユーザセグメンテーションを見直す

授業前の課題(上記”Food”のインタビュー)の続きとして、もう一つの2人組グループと組んで、お互いのグループがインタビューした相手にとって”Food”がどんなものであるかを見比べ、その2人が同じセグメントにいるとして良いかを議論した。

我々のグループが組んだグループはインドネシア人学生のルームメイトにインタビューを行っており、その回答者にとっては時間が節約できることが最も重要な要素であったものの、栄養素を重視しているという点や自分で調理するという点などが我々のインタビュー相手と共通していた点から、同じセグメントにいると位置付けた。

 

新商品に求められる特徴の抽出

新商品に求められる特徴をQuality(形容詞で表現)、Feature(名詞で表現)によって書き出す。これらの特徴が、最初に作るプロトタイプであるMLPMinimum Lovable Product)が必要十分条件として持っていなければならないものとなる。

またその際、狩野モデルに基づき、それらの特徴が以下のどれに当てはまるものなのかを明確にしておく。

Delighter(魅力品質)

無くても不満を生まないが、あれば商品の魅力を向上させるもの(車に搭載されたWiFiなど)

Satisfier一元的品質/性能品質)

十分充足されていなければ不満を生み、十分充足されれば商品の魅力を向上させるもの(車の燃費など)

Desatisfier(当たり前品質/基本品質)

無ければ不満を生み、十分充足されていて「当たり前」だと捉えられるもの(車のエンジンがかかることなど)

 

ここがまさに今週の授業の最も大きな学びとなった。

ユーザに見せて仮説検証をするための最初のプロトタイプは、必要最低限のもの(Minimum)で無ければならない。曖昧にはそう感じていたものの、それには同時にターゲットとしているユーザが求めているコア品質を特徴として盛り込み、「Lovable」なものに仕上げなければならないという点は新たな学びであった。Lovableであると考えるプロダクトを世に出すことで、新商品にはファンとなってくれるユーザがいるのかを検証することができる。そのためには、商品のコアな特徴を明らかにすると同時に、それ以外の余計な特徴をつけないMinimumなものを作ることで、テストユーザがいち早くそのコアクオリティに触れられるように仕向け、その反応を掴めるようにすることが必要である。