Your focus determines your reality.

思ったことや新たに知ったことのメモとして。元々は留学中に考えていたことを記したブログでした。

社会的関係、それを踏まえた感情が顧客行動にもたらす影響

月曜日のConsumer Behaviorでは、他者とのつながりから個々の顧客がどのような影響を受けているかについて扱った。

顧客、というより人間は、自分自身の考えと同じくらい社会的な人間関係から影響を受けており、それが購買行動にまで影響を及ぼしている。

具体的な影響の種類としては、以下のようなものが挙げられる。

 

・他者との比較

帰属意識/魅力的な他者と繋がりたい気持ち

・社会的証明

・社会趨勢への追従

・人間関係

 

他者との比較

他者よりも良くありたいという潜在意識が、購買を促すことがある。

アメリカのアパレルブランド「アバクロンビー&フィッチ」の旗艦店は、店頭に筋骨隆々な男性が上半身裸で立って買い物客を迎えるのがトレードマークになっているが、これは購買行動に影響があると言う科学的な調査結果が出ている。

ある家具店で、同様に強そうな男性を入口に立たせている場合と誰もいない場合とで顧客の購買履歴を調査したところ、男性の顧客は入口に強そうな男性が立っている場合の方が使用金額、購入点数ともに増えると言う結果が出た。強そうな男性を見ると、たくさんお金を消費することで社会的な強さを示そうとする人間の性質の表れである。

 

帰属意識/魅力的な他者と繋がりたい気持ち

これはまさに、SNSでのステルスマーケティングなどに表れている。自分が好意的に思っている人物の購買行動に引っ張られて同じものを買うことで安心感を得られると言う性質だ。

これも実験結果がある。ある大学のブックストアにあるTシャツ売場で、隣で美形の男性・普通の男性・美形の女性・普通の女性のうち誰か一人がTシャツを試着しているのを見せ、顧客が同じTシャツを買うかどうかを調査した場合、男女ともに「魅力的な見た目の異性」が試着した場合のみ、隣に誰もいなかった場合と比較してTシャツの購入確率が上がっている。

 

社会的証明・社会趨勢への追従

安全で正しいことをしたいという性質。他人が何かの行動を起こしているのを見た場合、それは安全で正しい可能性が高いと言う判断を潜在的にしている。

授業の中では、黒人差別反対運動がいかにして広まったかについて扱った。1950年代のアラバマ州で、黒人女性ローザ・パークスがバスの中で白人に席を譲らず逮捕された事件を受け、地域の有力者たちによるバスのボイコットへの呼びかけが始まった。

それまでも同様の逮捕事件は起きていたが、ローザの逮捕がここまでの大きな運動に発展したのは彼女が地域有力者との繋がりを持っていたことが発端だとされており、そうした人々の呼びかけであることで地域の人たちも運動に参加しやすい状況が生まれたのだと考えられる。この差別反対運動はその後マーティン・ルーサー・キング・ジュニアらによって率いられ、1964年の公民権法制定にまで繋がっていった。

 

人間関係

情報伝達や助け合いの気持ちは人間の大きなモチベーションの一つである。

上記のローザ・パークス公民権運動の際には、有力者の呼びかけに最初に応じた人数が多かったのは、ローザが地域のコミュニティに多数参加しており顔が広かったことが要員として挙げられている。

また、購買行動を促すものとして、友達どうしの間での口コミが無視できないことはもはやマーケティングの常識だ。他にも、最初に何かをプレゼントしてしまい、購入を断りづらくすると言う戦術も古くからあるものとして有名だ。

 

人間を動かすこうした効果は、営業や販売の最前線では無視できない力になる。

また、例えばデータを見て顧客の行動を調べたりする際に、無味乾燥なデータから顧客の行動の背後に働いているモチベーションを予想したり、それによって因果関係を正しくひも解いたりすることに必要な知識だ。

特に因果関係を正しく捉えることは、データを正確に分析することと同じくらい重要で、これを間違ってしまうと、データを正しく解釈できたとしても、そこから読み取れる問題を解決する施策立案の段階で正しい解決策を打ち出せなくなってしまう。

こうした引き出しを地道に増やせるのもMBAの醍醐味だと考え、どんどん吸収していきたい。