Your focus determines your reality.

思ったことや新たに知ったことのメモとして。元々は留学中に考えていたことを記したブログでした。

Amazonの友人との話

1月末には学校の就職支援イベントとしてベイエリアに行ってきた。社費留学だし転職にも興味は無いのだが、せっかくなので行ってきた。

ところがこれがあまりに得るものが無く、むしろ現地で空き時間に会った2人の友人との時間の方が断然有意義であった。そのうちの1人、KosukeはAmazonで広告のプロダクトマネージャーをしている友人。お互いが赤ん坊の時からの友達だ。

朝ごはんを一緒に食べながらKosukeと話した内容をまとめておきたい。

 

データを握るということの強さ

Kosukeの仕事はAmazonの購買履歴を独自のアルゴリズムで分析し、個々のユーザの志向に合った広告を出せる広告スペースとして広告代理店に販売すること。Amazonの有名な「この商品を買った人はこれも買っています」を広告掲出主にも提供しようというビジネスだ。

Kosukeと話をしていると、今後のマーケティングはデータを持っている者だけが勝ち残れる戦いになってくると感じる。今後ますます消費者の行動がデータ化されてトラッキングされやすくなる中では、データ分析によってのみ知ることができる顧客の隠れた志向性を探り合う競争や、ユーザをどれだけ細かくセグメント分けし、先の行動をどれだけ正確に読めるかの競争が激しくなる。

そんな中では、真似事のようなアンケートや市場調査では勝ち残っていけなくなるだろう。ましてや勘と経験によるマーケティングなど自殺行為だAmazonは分析アルゴリズムの開発に金をつぎ込み、自前で開発しているという。Googleも検索ワードや自社の持つ個人ユーザ向けサービスから、また各SNSはユーザの言葉や感情の動きから次の行動を予測するアルゴリズム開発に力を入れている。

自社でも、例えばコールセンターでの顧客との会話をテキストマイニング的に分析して販売や解約防止に繋げるなどの可能性は十分にあるだろう。その時に膨大なビッグデータを前にして勘と経験に頼らないで済むよう、やはりデータをしっかり扱えるようになりたいと改めて思った瞬間であった。

 

Amazonの物流

また、Amazonといえば物流+小売の覇者ということで、その話も少し聞くことができた。

意外にも、Amazonの巨大な倉庫はまだまだ人の手による所が大きいらしい。品揃えが多いAmazonでは、いわゆる「ロングテール」部分にあたる1点ものの商品などが無数にあるので、ダンボールの大きさをみながら効率よく棚に収めていく部分はまだ職人技に頼る部分が多いのだとか。現時点でそこを機械に置き換えようとすると逆に非効率なのだそうだ。

一方で、棚の直前までと発送するために棚から出したあとはロボットによる運搬に頼っている。また、これまで各地の運送会社に委託していたラストワンマイルの運送部分にも参入を検討しており、UKではドローンによる自動運搬をテスト中とのこと。ただ、都心部では自宅のドアの前まで届けなくても、例えば近所のコンビニやスーパーにドロップオフしても顧客満足度はそんなに変わらないのではないかという意見もあるという。

個人的にも、何から何までサービス品質を高めるための効率化を模索することよりも、顧客満足度が下がらない限りは改善しなくて良い(むしろ頑張っても改善にならない)と感じているので、この考え方はとても納得がいった。

またコールセンターの例になるが、コールセンターの電話がつながるまで45秒以内なら、顧客の満足度は下がらないのだというデータを聞いたことがある。つまり、それ以上早く応答しようと頑張っても顧客満足度の改善には繋がらないということだ。

今学期受けているオペレーションの授業の中でも、工場の各工程に行列ができることは一見悪いことのように思えるが、重要なのは工場で作ったものを売った結果いくら儲かるのかということであり、それに影響しないのであればいくら在庫を減らしても無駄だということを学んだ。MBA的な言い方をすれば「イシューを押さえる」ということになるのだろうが、自分のしようとしている改善が何を目的にしていることなのかは見失わないようにしたい。

 

Amazon Go

Amazonはシアトルで無人スーパー「Amazon Go」のテスト運営をしている。店に入って行って、好きな商品を自分のカバンに入れて店を出れば、自分のAmazonアカウント上で勝手に会計もしてくれる。

店内のカメラで顧客の行動を細かく読み取り、何を買ったか逐一チェックしているこの仕組みにはまだ欠点もあるだろう。先日もYouTuberが万引きに成功したという話を聞いた。

しかしそんな失敗を現場で繰り返しながら、あっという間にAmazonはそのサービスを磨き上げて実仕様に耐えられるものにするだろう。そうなれば、傘下にある全米のWhole Foods Marketを全て無人スーパーに置き換えることもできるかもしれない。新しいサービスは不完全でもいいので顧客に晒して市場で磨き上げていく、という開発の強さを改めて感じた。