2019冬学期振り返り
先週は月曜に自宅受験の期末試験を受け、木曜に最終レポートを提出し、春休みに入った。
不完全燃焼だった先学期の反省を活かし、今学期はそれぞれの授業やグループに食い込んでいくことができた。課題やグループワークは負荷もかなりかかり、グループ内での衝突も何度かあったが、その分得るものも多く、マーケティングリサーチの実践的経験やチームダイナミクスがいかにして生まれるかを身をもって知る良い機会もたくさん得ることができた。
さらに、グループプロジェクトであるLab to Market+いずれも少人数でクラスディスカッションへの積極的な参加が求められる授業が3つという履修の仕方も、クラスやチームの中で自分ができることについて考え行動するための良い刺激となった。
2年間の留学も残り3カ月。最後の学期は特にLab to Marketで結果を出すことに注力して、全力で駆け抜けたい。以下、今学期の各授業の振り返り。
Consumer Behavior
顧客行動に影響を与える大小の要素と、それを踏まえて顧客の行動や思考をいかに掴みマーケティングに活かすかに着眼した授業。
これまでに受けた授業のうちのResearch for Marketing DecisionやCustomer Analyticsのようなリサーチ系授業を定性分析的側面から補完するような内容で、数的なデータ分析が示すものについての仮説を立てたり、因果関係を読み解いたりするための知識の引き出しを増やしてくれる授業であった。
また、個々のトピックは高い視点からのマーケティングリサーチというよりは、より現場に近い販売戦略や営業の実務に活かせそうなものが多く、顧客という生き物がどういう習性をもっているかを知っておくことで、営業戦略を考える際に「失敗に陥らない」ための知識として活用できそうである。
Customer Analytics
R言語を使った統計分析ソフトRadiantの開発者であるVincent Nijs教授による定量分析の授業。
ツールをバリバリ使うというよりは、定量分析が何を解決してくれるのか、そのための分析手法はどんなものがあるのかを丁寧に解説してくれ、それらを理解した上でツールを使ってハンズオンの課題を大量にこなしていくという内容で、これまでの授業の中でもトップレベルに満足度の高い授業。
具体的には、どの顧客が今後どれだけの利益を会社にもたらしてくれるかの計算と、過去の購買履歴データなどに基づき、どの顧客を相手にして、どの顧客は相手にしないべきかを考えたり、どの顧客にどの商品を販売するのが利益最大化に繋がるかを考えたりするプロセスを学ぶことができた。
自社の事業のことを考えても、多くの顧客基盤を持っていながらそこから得られるデータを活用できていないということを考えさせられた。
今回の3カ月で完璧に定量分析をマスターしたわけではないが、マーケティングのゴールに対してどのような手法を使って何を知ることができるかは体得することができた。
自社は公共性の高い企業組織であることも影響し、色々なところで全方位的な販売戦略や商品戦略が取られがちであり、それは時にはコストを度外視したものであったりしてしまうが、そこにこの授業で学んだような考え方を持ち込むことにより、戦略を取捨選択するための指針になるはずだ。特に、これまでの経験則が通用しない新たな商品や新たな販売モデル、新たな業界での戦略立案は、こうした知識が道しるべになってくれるだろう。
また、この授業のグループワークではインド人のチームメイトとグループワークの進め方について衝突しながら、お互いの不満点についてしっかり話し合い、最終的には以前に増してグループの結束が固まったという経験も積むことができた。リスクフリーな環境だからこそお互いに納得がいくまでトコトンやり合えるのもMBAという特殊な環境の良いところだ。
個人的に、グループワークというものはグループに貢献しただけ得る物も多く返ってくると思っているが、今回もそれを感じられた。次の3カ月も、そしてその先の実務の中でも、この姿勢は貫いていきたい。
Lab to Market
Radyの看板授業であり、3学期間に渡る授業の第2部。来学期の第3部と合わせ、事業立案のハンズオンプロジェクトであり、新生児向け血液検査の新技術を事業化するプロジェクトを進めている。Radyに来ると決まった時からやりたいと思っていたバイオテックの事業化案件であり、知らないことと分からないことだらけで刺激的だ。
今学期は事業の魅力度を測りGo/No-Goの意思決定をすることを目標として、誰にどんな価値を提供できるかの定義、市場規模の概算、競合と比較した自社の強みの明確化、販路の計画とビジネスモデルの構築、そしてこれらに基づく事業価値の算定を行ってきた。結果としては「GO」の判断となり、来学期も同じメンバーで同じプロジェクトをさらに進めていくこととなる。
来学期は事業化に向けて投資を受けるなどの目標をグループで立て、それに向けて具体的な事業立案を進めていきたい。具体的には、FDA認可承認のためのプロセス、そのためにいつどれだけの資金が必要かのさらに詳細な計画立案、ビジネスモデルの再検討と価格決め、そのために必要な市場調査を行っていく必要がある。
このグループはとにかくメンバーの能力とやる気が高く、マイルストーンとなっている課題提出前のチームの勢いはこれまでの色々な授業のグループの中でもダントツだと感じる。ただ、グイグイ引っ張るタイプのリーダーがいないため、やるべきことや決めるべきことが定まらずミーティングが長引いたり物事がなかなかスタートしなかったりしがちなので、チームの運営について来学期はじめに意識を合わせ、パフォーマンスをさらに引き出せるように働きかけていきたい。
Technology and Innovation Strategy
新たな技術を用いたイノベーションがいかに起きるのか、イノベーションが起きている/イノベーションを起こしている中で企業は何をすべきで何をすべきではないかについてケースを通して学んだ授業。
今学期の授業の中では最もアカデミックな授業であり、教授とはウマが合わずその上課題量もかなり重かったが、トピックは面白く、ケースから学ぶことも多かった。 特に、Sカーブやオープンイノベーション、標準競争などは自社事業との親和性も高く、自社や通信業界の姿を重ねながら考えたり、授業の中で自分の経験をシェアしたりすることもできた。
オープンイノベーションなど具体的な手法論やブロックチェーンのような具体的技術トレンドも学ぶことができたが、全体としてはかなり視座の高い授業であり、業界全体や自社の技術がイノベーションのどのような段階にいるかを理解して、その中で自社が取るべき戦略を考えるための基準を学べたことが一番の収穫。