Your focus determines your reality.

思ったことや新たに知ったことのメモとして。元々は留学中に考えていたことを記したブログでした。

Organizational Strategyの教授とのやりとり・その2

先週も記載したOrganizational Strategyの教授があまりに即レスをくれるので、他にも2つ、ブログに記載した文章を送ってみた。やはり即レスでコメントを貰えたので、それについて記載したい。

今回はいずれも短い返信ではあったが、自分の背中を押してくれるコメントだったと思っている。

 

大企業の中での新規事業について

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教授からの返信

「君がNikeとGEから得た学びは的を射ていると言えます。特に、これまで市場や顧客、競合などについて知っていると思い込んでいることを一旦捨て去るという考え方はまさにその通り。Nikeは過去の成功体験やその成功を作り上げたあらゆる物事を中国という新しい市場に重ね合わせてしまったが、それは上手く行かなかった。一方でGEは会社とは離れていながらも会社からのサポートを受けるもう一つの組織を作りあげた。それらは何にも縛られる事なく様々なことを学び、市場について新たな知見を掘り起こし、新たな物を創り出し、そして成功した。」

"Your 'take aways' about Nike and GE are spot on.  There is a paragraph where you talk about throwing away all you think you know about a market, the customers, the competition, etc.  You are right.  Nike superimposed its past success (and everything that it did to create the success) on the Chinese market...and it didn't work. GE created a parallel organization independent of but SUPPORTED by corporate...with the freedom to learn, discover new things about the market, and innovate...and it succeeded. "

 

返信を受けての考察

新たな市場や新たな製品に漕ぎ出すときには、経営戦略の定石として「Transferable Skillsは活かす」というものがあると思うのだが、その見極めが必要なのだろうと思っている。

これまでの経験で培ったスキルで活かせるものは新たな取り組みの中でも生かされるべきだが、それは新しい市場やサービス、顧客に対しても有効に働くべきなのかは一度ニュートラルな観点で考え直す必要がある。特に、マーケティングステイクホルダーとのパワーバランスの取り方などは市場や売る物が変わると全く違ってくるだろう。

その時に過去の成功体験に縛られ同じやり方を踏襲してしまう(これはびっくりするくらい自然に発生する人間の性だと思っている…)のではなく、ものごとの進め方や組織の組み立て方(これこそが今回学んだOrganizational Strategyの広義だと思っている)をゼロベースで考えるという思考回路が必要なのだろう。

また、そのときに有効なやり方の一つが「その道のプロに任せる」というものだ。自社は委託先のコントロールも時々苦労しているが、全く新しい市場やサービスにおいてパワーバランスが既存事業とは違う中でも、うまく手綱を握りながら上手にプロの力を借りるためのプロジェクトマネジメント力やガバナンスの効かせ方も今後の選択科目で学びたい。

 

Kotterの8Stepについて

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教授からの返信

「『短期的成果の創出』の重要性についての君の考察は正しい。リーダーシップ、危機感、変化のためのチームなど、これらの要素も全て重要ではある。ただ、人間というのは、自分が従っている概念が本当に正しいことや、自分が巻き込まれている大きな変革のリスクが自分を飲み込んでしまうことが無いことを確認したいといつも思っている。短期的な成果は、人々にこれらを見せ、信じさせ、リーダーが見せている未来像が破滅的ではなく、信じるに足るものだと思わせる力があるものだ。」

"Your observations about the importance of 'short-term wins' is also correct.  Leadership, urgency, a strong change coalition, etc. are all important...but people want to see 'proof of concept'  and to feel like the risk involved in a big change won't overwhelm them.  Short-term wins help people see (and trust) that the future you are proposing will be rewarding rather than destructive." 

 

返信を受けての考察

教授の言う通りで、新しいことに巻き込まれる人が一番不安に思っていることは「自分はこんなことしてて『正しい』のだろうか」と言うことだろう。

自分のミッションは他にあるはずで、その既定路線に乗ってさえいれば一定の成果は出るはずだし、少なくとも怒られることはないと考えているところに、成功する保証もなく、自分のそもそものミッションでも無いような新しいことに巻き込まれてしまったら不安になるのは当然である。

そんな時にそうした人たちに自分がしてきたことは正しいと信じさせられる最も強烈な手段が「成功」であり、だからこそ短期的成果を作り、見せることが変革をスピードアップさせる大きなターニングポイントになり得るのだと思う。

 

ものすごいミクロな視点で言えば、成果を大きく見せて上司から褒めてもらうことでも良いと思う。もう少しマクロな視点で言えば、自分たちのサービスが実際にワークし、顧客からのフィードバックを得たり、収入を得たりする瞬間に立ち合わせることでチームメンバーを鼓舞することはできるはずだ。

 

Kotterのモデルはその先にさらに2ステップあり、次の通りだ。

 

成果を活かした変革の推進

勝因を分析して次の手を考え続ける/さらに先のゴールを見据える/チームに新たなメンバーを入れ刺激を与え続ける

 文化への定着

事あるごとにさらなる前進について語る/成功に貢献したキーメンバーを表立って認める/新たなリーダーを立てつつ、これまで築いたものが失われないようにサポートする

 

これらを見ると、短期的成果の創出までがリーダーが孤独に頑張る勝負どころであると改めて感じる。その先は転がり始めた車輪を転がし続けるプロセスであり、そこまでの車輪を動かすところが一番力の要る部分だろう。

そこまでの成功確率を高め、短期的な成果を掴みやすくしてくれるための「勘」みたいなものこそ、MBAで学ぶフレームワークと、それを活かした経験、そして大量のグループワークの中で身に付ける人間力なのだろうと思う。